有限会社吉栄産業の吉本周次社長と、今回取材を受けてくださった吉本尚史専務

有限会社吉栄産業 専務取締役 吉本尚史

会計事務所と顧問先企業との関係は、十年、二十年と長く続くのが普通だった。しかし近年では、そのような会計業界の常識にも変化が表れている。会計事務所が提供するサービスに満足できなければ、契約解除を申し出る経営者が増えているのだ。
そこで本稿では、中小企業経営者に財務・事業承継コンサルティングを行うエフピーステージ株式会社(東京都港区)と共同で、会計事務所を代えた経営者にインタビューを行い、顧問税理士の交代はなぜ起きるのかを探る。
第2回は、有限会社吉栄産業(広島県広島市)専務取締役の吉本尚史氏(写真右)にお話を伺った。同社は国内貨物の海上運送を行う企業で、25年前に売上拡大のため法人化した。しかし、その際の借入金を銀行と顧問税理士の指示通りに処理したことで、約20年後に役員貸付金と認定利息が大きく膨らみ、実態債務超過に陥った。同社の顧問税理士が交代したのはこのときである。

役員貸付金と認定利息が膨らみ実態債務超過に

―― 本日は、有限会社吉栄産業の吉本尚史専務にお話を伺います。はじめに、貴社の概要をお聞かせください。

吉本 当社は、広島県広島市に本社を置き、主に九州一円と瀬戸内海西部において、ガット船による各種建設骨材や製造原料などの海上輸送を行っています。
ガット船とは、砂や砂利、石材などの工事用資材を輸送する作業船で、当社は現在、3隻のガット船(社船2隻、受託船1隻)を運航しています。新造船就航後(6月末頃予定)は、社船が3隻になる予定です。
代表取締役社長は私の父の吉本周次で、父は個人事業主として営んでいた事業を、今後の売上拡大のために平成7年1月に法人化しました。

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