税理士法人アクセス 代表税理士 鈴木浩文

順風満帆だった開業10年目に社員20名中19人が辞めた地獄から、50名超えの士業グループにV字回復させた税理士法人アクセス代表の鈴木浩文先生。理念経営の必要性を痛感し、1000時間の座学と実践を繰り返した自身の体験から、理念経営を推進するための最強ツールである経営計画書、特に理念浸透についてのノウハウを顧問先と共有している。そんな鈴木氏に理念経営の必要性とその推進方法、また中小企業経営における財務面の課題の本質についてお話を伺った。

顧問先にはB/Sのストック目標が不可欠

── 経営計画業務に取り組まれたきっかけについて教えてください。

鈴木 私が独立開業をして最初に入れたソフトが「MAPシステム」でした。独立前の事務所では、企業再生業務として不良債権処理を行っていました。そのときは銀行から依頼を受けて再生計画を立てていました。その際の資料としてB/SとP/Lのシミュレーションが必要でした。それをエクセルで作成していましたが、バグが多く、チェックするのが大変でした。そこで、独立とともにMAPシステムを導入しました。

── 企業再生業務のなかから学ばれたことを教えてください。

鈴木 独立前の事務所では、10社案件がきたら再生できるのは1社、つまり「1勝9敗」でいいと言われていました。
そのときに一番驚いたのが、自社の財務の傷み具合を社長が全く分かっていないということでした。なぜかというと、「B/Sが読めない」からです。銀行から多額の借入をして資金繰りがなんとか回っている状態なのに、P/Lしか見ていないのです。
なぜそうなったのかと考えると、経営者の頭の中は「節税」のことばかりで、期中は利益を最大化するために経費を抑えているのに、決算2カ月前くらいになり、着地見込みからおおよその納税額が分かると、逆回転で経費を使い、「節税」という名の無駄遣いを繰り返しているからです。
問題の根が深いのが、それを煽っているのが会計事務所だということです。「きちんとB/Sの説明をしているのか?」「B/Sの目標設定をしているのか?」、もっというと「その会計事務所自体がB/Sのストック目標を持っているのか?」ということが、独立時から変わらず私が思っていることです。

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