エフピーステージ株式会社 代表取締役 五島 聡

本連載は、「中小企業を元気にして企業継続を支援する経営支援税理士を増やすこと」を目的としています。今回は「節税経営問題と節税税理士問題」について述べたいと思います。

日本経済を支える中小企業が危ない

日本企業の99・7%を占める中小企業が日本経済に与える影響は多大です。企業が果たすべき役割の一つが「雇用責任」であり、労働生産人口の約7割の雇用を中小企業が担っています。
これほど重要な中小企業が、「財務問題」と「事業承継問題」という2つの大きな問題を抱えています。国税庁によると、過去15年間の加重平均での赤字比率が約70%だそうです。経済産業省のデータによると、2025年に70歳を迎える社長の人数が245万人、廃業予定率が約70%に達しています。
このような問題を放置した場合の経済損失はGDPベースで22兆円、雇用喪失が650万人と算出されています。規模が大きすぎて想像がつきにくいですが、650万人の雇用喪失は千葉県一県分と同規模であり、経済的ダメージを受ける人はその3倍にも4倍にもなります。
この問題の解決に時間的な余裕はないのです。

財務問題と事業承継問題の相関

中小企業が抱える問題をもう少し踏み込んで考察してみましょう。
赤字比率と廃業予定率が70%と同率になっています。赤字経営とは金が足らない経営であり、財務問題につながります。金が足らない経営とは企業経営の本質である継続ができない経営であり、後継者がいたとしても事業承継はできません。
大手信用調査会社によると、2018年の企業倒産数は1年間で8235件。これに対して廃業社数はその約5・7倍の4万6724件、今後1年間での廃業リスクを抱えた法人社数は31万社と、廃業が急増傾向にあります。廃業とは負債の返済や支払いが困難になる危険性をはらむばかりか、全従業員の解雇を伴います。人の幸福に貢献する行為ではありません。

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