税理士法人松本 代表税理士・行政書士 松本崇宏
税理士法人松本(本店:東京都新宿区)は、東京の新宿と亀戸、横浜、大阪に4拠点を構え、開業から10年余りで急成長を遂げた事務所である。同社は、多くの税理士が避ける水商売や風俗店と積極的に顧問契約を結び、風俗店の従業員も含め申告や納税の相談に応えることで顧問先を増やし続けている。さらに、蓄積したノウハウを生かした指導が既存顧客からの紹介を生み、大きな強みとなっている。同社の取り組みは競合相手のいないブルーオーシャンの開拓事例として、業界でも注目されている。創業者で代表の松本崇宏氏に、この業種に着眼したきっかけや業務拡大への取り組み、今後のさらなる成長戦略などについて伺った。(撮影:市川法子)
開業12年で4拠点、80人規模に拡大
―― 本日は、税理士法人松本、社会保険労務士法人松本の代表である松本崇宏先生にお話を伺います。
松本先生は20代で事務所を設立され、10年余りで首都圏と大阪に4拠点を展開するという急成長を実現しています。その具体的な取り組みと、さらなる成長戦略についてお聞きしたいと思います。
まずは事務所の沿革からお話しいただけますか。
松本 私は大学に進学したものの、あまり真面目に勉強はしませんでした。就職氷河期といわれた20年ほど前、周りの友達が同じような髪形とリクルートスーツで面接に出掛けるなか、私は人にあれこれ指示されながら働くのは面倒だと思い、社長になろうと考えました。
しかし、何の社長になればいいのか分かりません。父親が弁護士をしていたので、弁護士も社長のようなものだろうと考えました。
弁護士になるために何をすればよいのかと、書店に行って「誰でもなれる○○」シリーズの弁護士の本を見たら、法学部に行ったほうがよいと書いてあり、難しそうで無理だと諦めました。
たまたま隣にあった同じシリーズの税理士の本を手に取ると、1年1科目ずつでもよいと書いてあり、弁護士よりも簡単そうに思えました。これにしようと決めて、そのまま大原簿記学校に入学を申し込みました。
ですから、そのとき手に取った本が「誰でもなれる社会保険労務士」だったら、社会保険労務士になっていたかもしれません(笑)。