左からひょうご税理士法人 副代表の千﨑唯史氏、代表の妹尾芳郎氏、経営支援チーム チームリーダーの榊 健司氏

ひょうご税理士法人(兵庫県尼崎市)は、相続税申告の取扱件数が兵庫県トップを誇る会計事務所である。代表の妹尾芳郎氏は、不動産業での営業経験を生かした、顧客との信頼関係を根本に据えたサービスで成長を続けている。月次決算、「あきない会計」、社員参加型経営会議、経営計画書などのツールを活用し、中小企業の業績向上に大きく貢献している。今回の取材では、妹尾氏と副代表の千﨑唯史氏、経営支援チームリーダーの榊健司氏に、同社の経営支援の実際について詳しく伺った。

職員の明るい声が飛び交うひょうご税理士法人のオフィス
ひょうご税理士法人のオフィス
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相続税申告で兵庫ナンバーワンの会計事務所

―― 本日は、兵庫県尼崎市のひょうご税理士法人代表の妹尾芳郎先生、副代表の千﨑唯史さん、経営支援チームリーダーの榊健司さんにお話を伺います。
 ひょうご税理士法人は、兵庫県で相続税申告の取扱件数がトップの会計事務所です。独自のツール「あきない会計」を活用した月次決算や、社員参加型の経営会議などを武器に、成長を続けています。
 まずは妹尾先生に、ひょうご税理士法人の沿革をお聞きします。

妹尾 私は公認会計士を目指し、東京の大学に進みました。卒業後は監査法人に就職し、3年間在籍して公認会計士の資格を取得しました。しかし正直、チェックばかりの監査の仕事が面白いとは思えませんでした。
 次に勤めたのが、宝塚市の建部公認会計士事務所です。昭和57年に入所し、3年在籍しました。所長の建部先生は公認会計士、税理士、不動産鑑定士、宅地建物取引士と4つの資格を持つ理論肌の不動産税務に強い先生で、とても勉強になりました。
 そのあと実は、いったん会計業界から離れました。親に地元の尼崎に戻ってくるよういわれ、実家が経営するセノオ商会という不動産会社に入社したのが昭和61年です。
 最初は営業が全然できず、月に数百万円稼ぐ同僚もいるなかで、勤務時間は同じなのに私は月3万円でした。負けたくないという気持ちから、来社されたお客様や、かかってきた電話に、積極的にいの一番に応対するようにしました。そして、ご希望の物件が見つかるまで、何度もお客様のところに足を運びました。
 自分から率先して動くことで、お客様に喜ばれ、信頼関係を結べることが実感できました。多くのお客様に会ってさまざまな提案をすること、不動産の売買・賃貸の仲介が信頼関係によって成り立つことが、とても面白くなったのです。
 不動産業の面白さが分かってきて、親の後を継ぐ気になっていたのですが、3年経った33歳のころ、父から独立を言い渡されました。
 今思えば、父は私が40歳を過ぎてから、「あのとき会計事務所をやっておけばよかった」と言われないよう先手を打ったのでしょう。いずれまた不動産業に戻らせるつもりだったと思います。
 しかし、自分はいなくてもよいのだと受け取った私は、一度は自分の城を持ちたいという思いもあったことから、やってみようと決断しました。そして平成元年8月に、妹尾公認会計士事務所を開業しました。
 開業にあたっては、不動産賃貸業のお客様が私の営業基盤になりました。不動産業と同様、税務もお客様と信頼関係を築ければ、必ずうまくいくと考えました。お客様の信頼を得ること、それが私の会計事務所開業にあたっての原点です。
 まず、確定申告は宝の山だと思い、地元の金融機関や生保関係の会社に提案型営業をかけました。実は、当事務所の強みのひとつは確定申告であり、現時点で800件の確定申告のお客様のほとんどが不動産賃貸業です。
 不動産賃貸業のお客様の確定申告をコツコツこなしていけば、固定資産名寄帳、保険証券等の資料からさまざまな情報が得られます。その情報をもとに、所得税の節税対策や相続税対策の提案を行った結果、相続の仕事や法人の設立が増えていきました。

―― 当初から不動産に詳しいという強みを生かしたわけですね。

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