税理士法人o‒tax 代表社員税理士 小川清春
TKC会員事務所として、九州会モデル事務所、および全国会モデル事務所に任命された小川清春税理士事務所(福岡県大牟田市)。今年1月には法人化を果たし、税理士法人o‒taxとなった。創業者であり、代表社員税理士の小川清春氏(写真)は、地元テレビ・ラジオにも出演するなど、目覚ましい活躍を見せている。しかし、その経歴は税理士業界の中でも異色だ。高校を卒業後、大牟田の炭鉱で働き、幾度もの死地をくぐり抜けた経験を持つ。そこから一念発起して税理士を志した。独立後は飛び込み営業から顧客開拓を始めたという強者でもある。そのような小川氏が事務所経営の根幹に据えるのが「人づくり」。全員参加型経営を目指す小川氏の事務所づくり、人づくりについてお話を伺った。(写真撮影:市川法子)
炭鉱をやめ、税理士を目指す
―― 本日は会員モデル事務所に任命されるなど、TKC会員事務所としてご活躍の税理士法人o-taxの事務所づくりについて、小川清春先生にお話を伺います。小川先生は、炭鉱で働いていたという異色の経歴をお持ちだそうですが、どういった経緯で炭鉱で働くようになり、そこから税理士に至ったのか、まずはそこからお聞きしたいと思います。
小川 大牟田は、いわずと知れた炭鉱の町でした。そこで生まれ育った私は学生時代、あまり出来がよくありませんでした。当時、兄が地元から離れていた関係で、高校卒業後、地元で就職口を探したのですがなかなか見つからず、父から「炭鉱で働け」と言われました。炭鉱で働く以外に選択肢がなかったのです。
炭鉱夫というのはとてもきつく、大変な仕事です。まずは現場まで行くのも一苦労で、地下800メートルまで降りてから、トロッコ列車で1時間くらい揺られるのです。
私は坑道を掘る仕事に回されました。壁面に穴を開け、ダイナマイトをこめ、爆破した後の残骸を撤去し、そのあとから廃線レールで梁をつくりながら進んでいくのです。進むといっても、地層は炭だけでできているわけではなく、岩盤が出てくることもあれば、海底の下ですから、亀裂が入って水が流入してくることもあります。命がけです。