株式会社日本M&Aセンター 執行役員 コンサルタント戦略営業部長 奥野秀夫
コンサルタント戦略営業部 マーケティング室 夏目雄太

一時は約400万社あった日本の中小企業は減少を続けており、少子高齢化のなか、今後さらに減少すると予想されています。企業の減少は地域経済にとって深刻な問題であり、これは会計事務所にとっても無視できないものです。
本稿では地域経済の衰退を防ぐ手段として、M&Aを活用した中小企業支援策についてご紹介させていただきます。

年間2万社以上が消える大廃業時代

多くのメディアで「大廃業時代」という言葉を目にするとおり、中小企業を取り巻く状況は深刻です。
帝国データバンクによる動向調査によれば、平成29年に休廃業・解散した企業の数は2万4400社に達します。同年に倒産した企業数は8376社であり、実にその3倍近い企業が休廃業をしていることになります。
その一方で、休廃業をする企業の44%は、実は黒字なのだといいます。なぜ、そのような企業まで休廃業をしてしまうのでしょうか。
地方デパートの相次ぐ閉鎖に代表されるように、顧客がいないために休廃業する企業もあれば、労働力不足で休廃業に追い込まれる企業もあります。なかでも特に問題視されているのが、後継者がいないことによる休廃業です。
現在、66%の中小企業で後継者が不在とされており、後継者未定企業は127万社に達します。
また、経営者が引退する年齢は小規模事業者においては70・5歳、中小企業では67・7歳が平均です。しかし、平成27年の時点で、経営者の平均年齢は66歳に達しているのです。この数字を見ても、後継者不在の問題は、もはや危機的状況であると言わざるを得ません。
この状況に、政府も動きだしています。平成26年から、中小企業が経営に関する相談を無料で行う「よろず支援拠点」を47都道府県に設置しました。そこに寄せられる後継者問題の相談件数は、年々増加しています。

急増する中小企業のM&A

一方で、日本税理士会連合会(以下、日税連)の動きも注目されています。日税連では平成30年4月から、税理士のみが閲覧できるウェブサイトの運営を開始しました。これは税理士の皆様はご承知のことでしょうし、日本経済新聞でも報道されました。
そのサイトはM&Aによって事業承継を仲介することを目的としており、税理士は売り手企業と買い手企業を登録することができます。

こちらは 実務経営研究会会員 用記事です
すべての記事が読める「実務経営研究会会員(有料)」へご登録いただくと続きをご覧いただけます。