FAA資金調達相談士協会会長の松波竜太氏(左)とメインアドバイザーの吉田 学氏(右)

企業経営に好調、不調の波はつきものだが、不調のときに資金繰りが悪化すると、資金的な体力のない中小零細企業は危機的状況に陥る。このようなとき、経営者が単独で金融機関と交渉し、融資を引き出すことは困難を極める。しかし、資金調達支援の専門知識を持つ会計事務所が日頃から関与し、長期的な資金計画を立てていれば、その状況は大きく変わってくる。FAA資金調達相談士協会(本部:東京都豊島区)は、資金調達支援の専門知識を持つ会計人のネットワークである。同協会は、長期的視点に基づく中小企業支援のノウハウや、融資を受けやすい金融機関の情報などを会員間で共有しており、資金調達に強い会計事務所の育成にも力を入れている。今回の取材では、同協会会長で税理士の松波竜太氏と、メインアドバイザーで財務・資金調達コンサルタントの吉田 学氏に、FAAの活動や今後の展望について伺った。

手元資金の重要性と会計人の役割

―― FAA資金調達相談士協会は、資金調達支援の専門知識を持つ会計人のネットワークとして活動を続け、まもなく5年になります。この間、FAAのネットワークは拡大し、会員間の情報共有も進んでいます。本日は同協会を主宰する松波先生と吉田先生に、活動状況や今後の展望について伺います。
読者の皆様のなかには、FAAの活動を詳しく知らない方がいらっしゃるかもしれませんので、まずはFAAの歩みについて伺います。

松波 FAA資金調達相談士協会は、その名のとおり中小企業の資金調達を支援する会計人の組織です。なぜ私がこのような活動を行っているのかといいますと、きっかけはまだ会計事務所の職員として勤務していた時代までさかのぼります。
当時、担当していた顧問先の社長が、資金繰りを苦に自殺してしまったのです。それは私にとって、「会計事務所の仕事とは何なのだろう」と考えさせられる経験でした。
財務体質を改善したり、正しく税務を申告したりすることは、中小企業にとってもちろん意味のあることです。しかし、中小企業にとって重要なこととは何かを突き詰めていくと、「手元に資金があるかないか」に行き着くのです。

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