税理士法人あさひ会計 代表社員 公認会計士・税理士 柴田健一氏
税理士法人あさひ会計(山形県山形市)は、総勢82名、関与先約730件を誇る山形県最大級の会計事務所である。グループ会社に経営コンサルティングを行う「旭ブレインズ」を擁し、1979年の開業以来、一貫して関与先の経営改善に力を注いできた。その黒字法人割合は67・0%と、全国の黒字申告法人割合32・1%(2015年度)を大きく上回る。また、株式会社日本M&Aセンター(東京都千代田区)と提携する地域M&Aセンター「山形M&Aサポートセンター」や、事業承継、相続対策に特化した「山形相続サポートセンター」も併設し、地域中小企業の戦略会計(MQ会計、組織再編)やM&A、事業承継問題にも積極的に取り組んでいる。その活動が評価され、2016年度の「日本M&A協会国際会議」において、MVP賞も受賞した。そこで今回、あさひグループの代表である柴田健一氏に、M&Aによる事業承継支援の取り組みと、同法人の中小企業経営支援事業について聞いた。
監査法人時代の経験を活かし、顧問先の経営支援に注力
―― 東北でも有数の規模を誇るあさひ会計は、顧問先に対する企業継続、黒字化など、経営支援に積極的に取り組んでいます。昨年度は、日本M&AセンターのMVPも受賞されました。本日は、M&Aへの取り組みを中心に、事務所の経営理念・戦略について伺いたいと思います。まずは、事務所開業の経緯についてお話しいただけますか。
柴田 私が会計士になったのは、父が経営していた鋳物工場が大きく関係しています。父の会社を継ぐことにためらいもあって、大学院へと進みましたが、父の会社が倒産の危機に見舞われたことで、大学院中退を余儀なくされました。そのとき、ゼミの教授から「公認会計士の試験は受けなさい」と言われ、地元山形に帰ったあと、工場に勤めながら勉強を続け、公認会計士試験に合格しました。
しかし、公認会計士になるには実務経験が必要なため、大手の監査法人に入りました。監査法人では仕事柄、大企業を内部から見ることができ、「商売とはこういうことなのか」と、目からうろこが落ちる話をたくさん聞きました。まさに、生きた経営の勉強をさせてもらいました。