企業会計には「財務会計」と「管理会計」の2つの会計分野があります。管理会計は、経営改善を目的とし、経営者が経営目標を達成するための判断材料をサポートするための会計と呼べます。管理会計をベースに「経営計画」と「達成管理」をサポートするMAS監査業務。MAS監査業務をベースに躍進されている会計事務所のスペシャルインタビュー。今月は岐阜県高山市と愛知県名古屋市でご活躍のMMPCコンサルティンググループ理事長である松井孝知氏の事例をお届けします。

「協働生産」「協働販売」「データの利活用」

── 貴社が力を入れている取り組みについてお聞かせください。

松井 大きなテーマとして「協働生産」「協働販売」「データの利活用」の3つを掲げています。
「協働販売」は外部の提携先に協力していただき、また逆にわれわれが協力する活動になります。昨年特に成果が出たのは金融機関さんとの協働販売です。直近では売上アップをテーマにした勉強会を専門コンサルタントにしていただきました。その後、その勉強会の内容に基づいて、われわれが経営計画の立案のサポートを受講者に対して行うという流れでした。

経営計画の前工程を外部の方に講演(協力)いただき、MAS監査の提案をわれわれが行うという役割分担です。地元の信金さん、信組さんとパートナー関係を結んでおり、そのセミナー受講者は金融機関さんからご紹介いただいています。

金融機関さんには本部に経営支援の部署がありますが、生産性を求めると支店の案件まで対応するのが難しいという現実的な悩みがあります。金融機関にとって金融庁の監督下において伴走支援を行っていくことは最重要課題となっており、われわれが提供するMAS監査と親和性が高いです。

「協働生産」は社内での協働活動についてです。当社は岐阜県高山市と愛知県名古屋市に事務所がありますが、「事務所全体」で税制上の判断、業務の効率化をどうすべきか日々試行しています。オフィスはふたつありますが、本部部門として両オフィスの状態管理や企画を行う組織があります。本部部門を通して事務所としての販売や生産活動のバランスを取っています。

最後に「データの利活用」ですが、これはデータの活用度合いを上げていくことです。会計業界では紙をなくすことやロボット化する流れが強いです。この流れは災害に対するBCPの観点や人不足に対する対応としては進めていくべきだと思います。データを「電子化」するだけでなく、経営判断や現場のオペレーション管理者の判断に使えるように「デジタル化」するのが当社でいう利活用です。

例えば生産で使っていた情報を管理部門に回す際に、再度集計したり転記したりする場面が見受けられます。システムが違うために分断されて発生している二度手間をなくし、現状を自動的に可視化する基幹システムを開発しています。

こちらは 実務経営研究会会員 用記事です
すべての記事が読める「実務経営研究会会員(有料)」へご登録いただくと続きをご覧いただけます。