株式会社REー経営 代表取締役 嶋田 利広
日本大学経済学部 教授 藤野 雅史
株式会社若山経営 代表取締役社長 税理士 若山恵佐

2年前、弊誌において「『シンプルBSC(バランススコアカード)』と『SWOT分析』で生まれ変わるMAS業務」をテーマに専門家にお集まりいただき、鼎談(ていだん)を行った。本稿はその第2弾となる。業界では、MAS業務に取り組む会計事務所が増える一方で、〝経営計画書作成止まり〟となっているケースが目立つ。この現状を打開すべく開発されたのが、「シンプルBSC」と「SWOT分析」という2つのフレームワークをドッキングさせたMAS手法だ。前回の鼎談では、その仕組みと戦略的MASの進め方についてお話を伺った。あれから2年、その手法はさらに進化し、新たに「KPI監査」という手法が生まれた。そして、その実務書『SWOT分析&BSCを活用したKPI監査の実務と実例』(マネジメント社)がこの春、出版された。そこで今回は、SWOT分析とBSCを活用したMASの普及状況からKPI監査の概要、そして会計事務所の新しいMASのあり方について鼎談いただいた。ご参加いただいたのは前回と同じく、管理会計・MAS業務の専門家お三方、日本大学経済学部教授の藤野雅史氏、株式会社若山経営(青森県青森市)代表の若山恵佐雄氏、株式会社REー経営(熊本県熊本市)代表取締役の嶋田利広氏である。
(写真撮影 市川法子)

シンプルBSCとSWOT分析の専門家が2年ぶりに集結

―― まずは、『SWOT分析&BSCを活用したKPI監査の実務と実例』の出版、おめでとうございます。「KPI監査」、これは前回のインタビューでは出てこなかったワードかと思いますが、今回はこれについてもじっくりお聞きしたいと思います。
前回は、新しいMASの考え方、取り組み方について語っていただきました。ポイントは、会計事務所の担当者が経営者との対話のなかで、いかに的を絞った質問をして、経営者が潜在的に持っているニーズやアイデアを引き出すために、そのコミュニケーションツールとして「SWOT分析」と「バランススコアカード(BSC)」があるというお話でした。
今回は、この2つのツールを活用した「KPI監査」という手法が確立されたということで、前回のおさらいをまじえ、「KPI監査」を主軸としたMASの考え方、その効果について伺っていきたいと思います、ご鼎談いただきますのは2年前と同じメンバー、「シンプルBSC」を提唱されている日本大学経済学部の藤野雅史教授、そのシンプルBSCを使ってMASを展開されている株式会社若山経営の若山恵佐雄代表、今回「KPI監査」を確立された株式会社RE-経営の嶋田利広代表取締役のお三方です。よろしくお願いします。ではまずはじめに、先生方の自己紹介からお願いします。

藤野 日本大学経済学部で経営会計・管理会計を教えている藤野です。経営会計とは戦略を実行するために会計情報をどう使っていくのかという学問で、まさに若山先生、嶋田先生が取り組んでおられるSWOT分析やBSCも研究対象になっていっています。
具体的には、経営計画、経営分析、予算管理というPDCAを経営のなかで回していく仕組みです。そして、会計といっても利益や経費といった話だけではなく、会社の強みや人材、仕事の回し方、そういったことも考えていくことが経営会計・管理会計であるということを学生に教えています。

―― 続いて若山先生に伺います。

若山 未来会計に軸足を置き、事業承継を中心に青森市で会計事務所を経営している若山です。税理士事務所を開業したのは1984年です。現在は税理士法人NAVIS(従業員数43名)へ組織変更していますが、それに先立って2004年にITコーディネータの資格を取得し、その後バランス・スコアカード(BSC)の取り組みを開始しました。これまでに、BSCを活用したAccessツール「戦略参謀」や、クラウドシステム「戦略ナビ」などを開発、販売しています。
このようにBSCを活用した中小企業の経営支援に取り組んできたわけですが、BSCに対する理解不足と、KGI(Key Goal Indicator/重要目標達成指標)、KPI(Key Performance Indicator/重要業績評価指標)といった経営計画を行動に移すための概念が、なかなか事務所に浸透せず苦戦してきました。
そのようななか、2019年から京都大学経営管理大学院EMBA講座「戦略と会計」を藤野教授と共同担当させていただくことになりました。2022年からは嶋田社長にも加わっていただいていますが、そのなかで、管理会計を中心とした財務コンサルティングから一歩踏み込んだシンプルBSCとKPIを使った、新しい経営支援の領域が見えてきたと実感しているところです。

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