ケーエフエスグループ(福島県福島市)は、税理士法人を中核とするコンサルティングファームである。税務・会計だけでなく、財務・経営コンサルティングやバックオフィス支援、投資・育成支援など中小企業向けの支援サービスを幅広く展開している。同グループはコロナ禍を機に、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)や資金繰り支援を切り口とした商品を開発し、そこから未来会計につなげるユニークな取り組みに力を入れている。今回の取材では、グループ代表の小島清一郎氏(写真左)と、未来経営パートナーズ株式会社取締役でMAS監査専任担当の齋藤健太氏(同右)にお話を伺った。(写真 奥平たかし。本稿は株式会社日本BIGネットワークの機関誌「季刊Ja‐BIGジャーナル 未来会計」2023年秋号に掲載されたものです)

税務担当からMAS監査担当への道筋をつくる

―― 本日お話を伺うケーエフエスグループの小島代表と齋藤取締役には、本誌2017年夏号でインタビューをさせていただいたことがあります。今回の取材では、その後の6年を振り返りつつ、現在の取り組みについて伺います。まずは、貴グループの概要についてお聞かせください。

小島 ケーエフエスグループは、税理士法人ケーエフエスを中心に、経営コンサルティング会社の株式会社ケーエフエスなど、全部で5つの組織から成るコンサルティングファームです。地元福島を拠点に事業を展開させていただいていますが、現在は東京や仙台にも事務所を構えており、6年前に47名だった社員数は、現在では73名になっています。

―― 採用難にあえぐ会計業界にあって、社員数を増やせた要因は何でしょうか。

小島 単純に拠点が増えたことがひとつの要因ですが、人事部の働きも大きかったと思います。
実は、前回の取材の前後に人事部を立ち上げ、それがこの6年でしっかり機能するようになりました。採用のミスマッチが減って離職率も下がっています。人事スタッフは専属で、採用、育成、評価のみに携わってもらっています。

―― 齋藤取締役は、前回のインタビューでは、MAS監査担当としてご同席いただきましたが、お立場は現在も変わりませんか。

齋藤 はい。ますますMAS監査業務に特化しています。ケーエフエスに入ってかれこれ13年になりますが、入社早々からMAS監査に携わってきました。当初は税務との兼務でしたが、徐々にMASへシフトし、最近になって税務担当の引き継ぎはほぼ終了しました。今はMAS監査に専任特化で取り組んでいます。
MAS監査業務に特化したのは、私自身がそうしたかったからですが、もっとMAS監査をやらなければならないという使命感もありました。
これからの会計事務所は、未来会計の領域を拡大していかないと収入源を確保できなくなるだろうと考え、私が専担者となり、道を切り開いていこうという思いがありました。
もちろん、私もそうでしたが、初めは税務担当との兼務でよいのです。税務担当が社長様にMAS監査の提案をしていくのが一番やりやすいでしょう。ただ、実際にMAS業務を知れば、過去会計より未来会計のほうが圧倒的に生産性が高いということが分かってきます。売上単価が高く、お客様に対するコミットメントも大きいので、MAS監査専担にシフトしていこうという考えが自然に芽生えてくるのではないでしょうか。私自身そのような経過をたどり、周りに迷惑をかけながらも引き継ぎを続け、シフトしていきました。

こちらは 実務経営研究会会員 用記事です
すべての記事が読める「実務経営研究会会員(有料)」へご登録いただくと続きをご覧いただけます。