税理士法人アーク&パートナーズ 代表社員/税理士
内藤 克

内藤 克氏が代表社員/税理士を務める税理士法人アーク&パートナーズは、同名の社会保険労務士法人と司法書士事務所、その他の専門家らと連携し、経営者が直面する問題を多角的に解決するワンストップのサポートを提供している。さらに特徴的なのは、ハワイと日本にまたがるクロスセクション事業に注力していることで、両国間の不動産税務をはじめ、国際相続コンサルティングやビジネス進出コンサルティングなども得意とする。なお、内藤氏には2024年6月にハワイで実施するBMS海外研修のコーディネートも担っていただく予定だ。法人設立の経緯から運営理念、来たるハワイ研修の内容や魅力まで、たっぷりお話を伺った。(撮影 城越謙太朗)

経営者を支援し守るワンストップの税理士事務所

―― まず、税理士法人アーク&パートナーズを設立した経緯をお聞かせください。

内藤 私はもともと準大手の会計事務所に在籍していましたが、平成7年に独立し、最初は個人で税理士事務所を開きました。そこから徐々に銀行や保険代理店、不動産会社などと関係を築き、顧客を増やしていきました。
そんなあるとき、知り合いの方から運送会社さんをご紹介いただいたのです。その会社は別の運送業者をいくつか買収して事業を拡大しており、すでに税理士もついていましたが、なぜか私に相談が来たんですね。どうやら、ある企業から今で言うM&Aのような形で吸収合併してほしいという提案があったものの、躊躇(ちゅうちょ)していると。話を聞くかぎり応じるべきではないと思われたので、私は反対しました。すると、その運送会社に対して相手方が圧力をかけるようになり、ついには強面の人まで出てきて、社長は仕方なく買い上げる方向で検討する旨の書面にサインをしてしまったのです。そして後日、債権者だという人物が現れ、相手方が債務超過で火の車だということが発覚しました。M&Aが成立するところまでは至っていませんでしたが、それが原因で銀行取引は止まり、社長は各所から非難を浴び、責任を感じて失踪してしまいました。……半年後、奥様から連絡があり、社長が自ら命を絶たれたことを知りました。

―― それは衝撃的な事件ですね。

内藤 はい。当時の私は32歳で、そのような状況に立ち向かう術を知りませんでした。突きつけられたのは、税務の計算ができるだけでは企業を守りきれない、もっと多角的なアプローチが必要だということ。それには、他士業の方々とも力を合わせなければいけません。そういうわけで、社会保険労務士・司法書士とグループを組み、コンサルティングに注力したワンストップのサービスを行う事務所を設立したのです。それが、アーク&パートナーズの前身ですね。

―― 税務に専念するのではなく、経営に関わるさまざまな課題を解決する方向に舵を切ったと。その事務所は平成9年に創設され、平成22年に法人化がなされ、今年で27年目になります。現在はグループ全体で何名の組織になられましたか。

内藤 私が代表を務める税理士法人アーク&パートナーズは、業務提携をしている税理士を含めて30名が所属しています。さらに、社会保険労務士法人アーク&パートナーズに20名、司法書士事務所アーク&パートナーズに5名がおり、全55名です。

内藤 克先生
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内藤 克(ないとう・かつみ)先生
税理士法人アーク&パートナーズ代表社員/税理士。昭和37年、新潟県生まれ。中央大学商学部卒業後、平成7年に虎ノ門で個人税理士事務所を開業。平成9年に税理士・社会保険労務士・司法書士による共同事務所を銀座に開いた。平成22年に税理士法人アーク&パートナーズを設立し、同名の社会保険労務士法人・司法書士事務所と共に、事業承継をはじめとするコンサルティング業務を開始。のちにハワイにも拠点を設け、現地不動産の税務や国際相続なども手がけるようになる。各種講演や経済誌への寄稿に加え、著書も出版している。
https://www.the-arcist.com

大きなネットワークを生むオープンな人材育成スタイル

―― 毎年、新卒者も採用されていて、積極的に組織づくりを進めていらっしゃるようですね。組織を成長させるために、どのような取り組みをしていますか。

内藤 弊事務所は決して急成長したわけではなく、時間をかけてここまで来ました。ゆっくりと顧客を増やし、じっくりと慎重にお付き合いさせていただいた結果、顧問契約維持率を99・7%にまで高めることができましたが、過去には厳しい時期もありました。特に問題だったのは、新規スタッフを採用してもなかなか定着しないことでした。ただ、そこで何かを変えたわけではなく、私自身がおもしろいと思うこと、若いスタッフに経験させてあげたいと思うことを追い続けてきただけです。また、私も歳を重ね、自分の子どもと同じくらいの世代が新卒で入ってくるようになると、スタッフに対して親のような感覚で接することができるようになりました。少しの失敗は問題ない、そこからリカバーすればいいじゃないか、という柔軟な考え方に変わったんですね。

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