資金調達相談士協会 理事長/さいたま新都心税理士法人 代表社員 税理士 松波竜太
2019年に初版を出版した『顧問先が融資を受けやすくなる! 税理士が知っておきたい 中小企業の財務改善ノウハウ』(第一法規)は、税理士を中心に広まり、4度の増刷となる大ヒットとなった。本書は、資金調達相談士協会の有志による著書であり、その多くを理事長である松波竜太氏(写真)が手掛けている。2024年1月、同書の新訂版が上梓される。コロナ禍では中小企業に対するいわゆるゼロゼロ融資が実行され、多くの中小企業が救済されたもののその返済が始まり、会計事務所の資金繰り支援もここからが正念場といえる。新訂版は、こうしたアフターコロナにおける中小企業の金融事情の変化を捉え、支援の在り方を見直すための一冊だ。著者を代表して、松波氏に新訂版のポイントやアフターコロナにおける中小企業に対する融資の変化などについてお話を伺った。
『中小企業の財務改善ノウハウ』執筆のきっかけ
―― 2019年、『顧問先が融資を受けやすくなる! 税理士が知っておきたい 中小企業の財務改善ノウハウ』が第一法規株式会社から出版されました。本書は松波竜太先生と資金調達相談士協会の有志の先生方の共著であり、松波先生は本文の多くの部分の執筆と、そのほかに監修・編集をしていらっしゃいます。出版後の反響は大きく、商業出版としては大ヒットといえる第4刷まで増刷されました。
2024年1月、初版の内容をアフターコロナの時代に合わせて大幅にアップデートした新訂版が出版されます。この新訂版の出版を記念し、本日は松波先生から本書についてお話を伺います。
まずは2019年に執筆された本書の初版について、なぜ本書を企画されたのかをお聞かせください。
松波 初版を上梓する前、私には既に中小企業の資金繰りに関する2冊の著書がありました。『借入は減らすな!』(あさ出版)と『その節税が会社を殺す』(すばる舎)です。この2冊は、私が中小企業のご支援を通じて体得した銀行対策に関するアドバイスを、経営者向けに分かりやすくまとめた書になります。しかし、分かりやすさを重視したぶん、専門性の高い内容や具体的なノウハウについては書き切れなかった部分があり、心残りとなったところがありました。
2019年に執筆した本書は、前の2冊とは異なり、中小企業の経営者と向き合う会計事務所の先生方や職員さんに向けた内容になります。ですから、前作では書くことのできなかった、「会社のここをこうしないと実際に資金繰りはよくならない」というような、専門性が高くより実践的で具体的なノウハウを伝えるために企画したというのが本書の位置づけです。
―― 出版後、会計事務所からの反響はいかがでしたか。
松波 初版の反響として印象的だったのは、ツイッター(現X)に投稿された、ある税理士先生のご感想です。全く存じ上げない先生だったのですが、その内容は、「財務や決算のことからお客様への対応まで、税理士としてのお客様との向き合い方が一冊にきちんと書かれている」というものでした。まさに狙って書いた内容だったので、とてもうれしく感じました。その後、その先生の影響力で投稿が広まり、一時はアマゾンから在庫がなくなりました。