税理士法人FLOW会計事務所(茨城県つくば市)は、スタッフ数約25名、平均年齢約30歳の中堅会計事務所である。2年前に二代目として代表社員に就任した佐藤尚哉氏(写真)は、事業承継を機に時代のニーズに合ったサービスを展開すべく社名やロゴを刷新し、若手スタッフの採用に力を入れている。その特徴は、インターンとして学生を受け入れ、その若い柔軟な発想を生かしてボトムアップ型の組織を形成している点にある。さらに、そこから正社員登用という採用ルートも構築している。会計業界において今後、さらなる人手不足、採用難が予想されるなか、先行投資で採用に注力する同社の取り組みと組織化戦略についてお話を伺った。(写真 澁谷哲之)

事業承継を機に事務所のブランディングを推進

―― 本日は、税理士法人FLOW会計事務所の代表社員である佐藤尚哉先生にお話を伺います。
佐藤先生は、ご父君が創業した事務所を数年前に承継され、代替わりをしてからは事務所の若返りを図るべく、積極的に若手スタッフを採用されているとお聞きしています。
今回の取材では、人材難にあえぐ会計業界において、若い人材の採用をどのように進められているのかといったあたりを中心に伺いたいと思います。
はじめに、事務所の概要から紹介していただけますか。

佐藤 税理士法人FLOW会計事務所は、今ご紹介いただいたとおり、茨城県つくば市で開業している、社員数25名ほどの事務所です。スタッフの構成は、正社員が約15名で、残り10名はパート、アルバイトとなっています。
創業は平成9年で、私の父が自宅の子供部屋、すなわち私の部屋をオフィスとして、顧客ゼロからスタートしました。場所は、つくば市の北に位置する茨城県筑西市という所です。
父はそこで地道に顧問先を増やしていったのですが、つくばエクスプレスの開通に伴って、つくば市の人口がしばらく増加傾向になることが予測できたため、将来を見据えて、平成27年につくば市に移転しています。そのときの職員数は、父を含めて約6人でした。
私自身は平成28年に入社し、その翌年に法人化という流れになります。入社4年目頃から採用、営業を含め、マネジメント職に就くようになりました。そして、令和3年の冬に代表社員に就任し、事業承継をしました。

―― 一昨年の事業承継を機に、現在のFLOW会計事務所に名称を変更されたのですか。

佐藤 はい。令和3年に、同じつくば市内の現在の場所に移転し、そのタイミングで社名もロゴも全て変えました。
「FLOW」とは、単純に「流れ」という意味です。お客様に、時代の流れに沿ったサポートを提供していきたいという思いを込めて、「FLOW会計」としました。

それまでは、「あけぼの会計」という社名でした。社名変更に踏み切ったのには、今の時代に合ったサービスをお客様に提供するためには、父がしてきたことを変えていかなければならないという決意表明の意味もあります。
とはいえ、父のやり方を否定するつもりは毛頭ありません。むしろ、創業者としての父をリスペクトしています。実は、「FLOW」という社名には、その気持ちも込められています。というのも、父はサーフィンをするのですが、ボードと脚がしっかり付いている状態を、サーフィン用語で「FLOW」といいます。そもそもの由来は、そこにあるのです。

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