ミロク会計人会連合会会長 植田 卓先生に訊く コロナ禍を経た会計事務所が進むべき道
ミロク会計人会連合会 会長/植田会計事務所 所長 税理士 植田 卓
植田会計事務所は、大阪市で2代続く老舗会計事務所である。所長の植田 卓氏(写真)は、日本税理士会連合会や近畿税理士会の要職を歴任し、母校の大学で教鞭を執り、税理士会の税制改正セミナーの講師を務めるなど、多方面で活躍している。そのひとつに、全国規模の組織であるミロク会計人会連合会会長としての活動があり、今年11月に大阪で開催される第47回ミロク会計人会全国統一研修会の大会準備委員長も務めている。本稿では植田氏に、そのユニークな事務所運営や報酬制度、コロナ禍を経て会計事務所がこれから進むべき方向性、ミロク会計人会全国統一研修会の企画内容などについて伺った。(撮影 市川法子)
顧問先数を絞ってサービスの質を維持
―― 本日は、大阪市の植田会計事務所の所長である植田 卓先生にお話を伺います。
植田先生は、ご自身の事務所運営の傍ら、税理士会の活動も精力的にこなしておられます。これまで、近畿税理士会や日本税理士会連合会の常務理事をはじめ、研修部、調査研究部、制度部の部長、税理士試験の試験委員などを歴任されてきました。
今回の取材では、日本税法学会や税務会計研究学会、租税訴訟学会に籍を置き、大学で教鞭も執られている植田先生に、会計事務所業界の現状と今後の展望を含むさまざまなトピックについて、ご意見や見解をお聞きしたいと思います。
はじめに、植田先生のこれまでの足跡を振り返っていただけますか。
植田 私が税理士になったのは、それほど大それた理由からではありません。父が税理士だったこともあって、自然にこの職業を目指すようになりました。昭和56年に税理士試験に合格し、翌年に登録しました。このように、ごく自然な形で会計業界に入り、二代目として事務所を引き継ぎました。
ですから、父の事務所経営をそのまま踏襲し、拡大志向には走らずにきました。個人事務所はお客様フォローに限界がありますから、大規模事務所のように顧問先をどんどん増やしていくことはできません。スタッフが3人の当事務所では、顧問先数の上限を70件に設定しています。
それ以上増やすと、サービスの質が維持できなくなります。現状でも、毎月訪問できるお客様の数は限りがあります。これら全てに私が行っているからです。