税理士法人コスモス 代表社員 税理士 鈴木成美
税理士法人コスモス(本部:愛知県名古屋市)は、職員ひとりあたり3000万円以上という驚異的な生産性を実現している会計事務所である。代表社員の鈴木成美氏は、20年前に創業者から事務所の経営を任され、成果配分制と職員の意識改革によって強靭な体制をつくり上げてきた。そのノウハウをまとめた『ひとり2000万円稼ぐ会計事務所の作り方』(平成22年発行)の改訂増補版、『ひとり3000万円稼ぐ会計事務所の作り方』が業界の注目を集めている。そこで今回の取材では、鈴木氏の経験と知見から築き上げられた「職員を変え、生産性を高めるためのノウハウ」についてお話を伺った。(撮影 澁谷哲之)
職員ひとりあたり3000万円稼ぐ会計事務所
―― 本日は、税理士法人コスモスの代表社員である鈴木成美先生にお話を伺います。
税理士法人コスモスは、職員ひとりあたりの生産性が極めて高い会計事務所として、業界でも名を知られています。13年前に刊行された鈴木先生のご著書、『ひとり2000万円稼ぐ会計事務所の作り方』(三和書籍)では、その生産性を高めるためのノウハウが惜しみなく公開され、大きな反響を呼びました。
そして一昨年12月には、その改訂版として大幅な加筆もされた『ひとり3000万円稼ぐ会計事務所の作り方』を、弊社(株式会社実務経営サービス)から発刊させていただきました。こちらも好評で、次々とお問い合わせを頂いています。
書名が「ひとり2000万円」から「ひとり3000万円」に変わったことからも分かるように、税理士法人コスモスの職員ひとりあたりの生産性は、前書発行後の10年余りで大きく向上しています。その根幹にあるのが、「職員の意識改革」です。
そこで今回のインタビューは、税理士法人コスモスにおける職員の意識改革の取り組みや、生産性向上のためのさまざまな工夫を伺い、成長を止めない事務所づくりの秘訣を探っていきたいと思います。
はじめに、貴社の概要から簡単にご紹介いただけますか。
鈴木 税理士法人コスモスの母体となったのは、創業者の野田賢次郎(現コスモスグループ最高経営責任者)が昭和57年に開設した、公認会計士野田賢次郎事務所です。私は、この個人事務所時代の平成8年に入所し、平成15年に税理士法人コスモスに組織変更した際に代表社員に就任しました。
その当時の売上が、約2億円でした。税理士法人をスタートするにあたり、5年でこれを倍にするという目標を立てました。その目標は3年後に、職員数22名で売上4億円超という形で達成しました。
―― このときの、職員ひとりあたりの生産性は2000万円弱になりますね。当時、平均的な会計事務所のひとりあたりの生産性は700万~800万円でしたから、この頃から貴社の生産性の高さは、業界内で注目されていました。
繰り返しになりますが、以前の取材で伺った「職員の意識を変えることが、事務所全体の変革につながる」という鈴木先生のお言葉は、強く印象に残っています。