EMP税理士法人 代表税理士 あべき光司
EMP税理士法人(大阪市北区)は、大阪を拠点に「人に力を与える人=EMPOWERANT」を目指し、代表税理士のあべき光司氏が平成28年に創業し、令和3年に法人化した会計事務所である。スタッフの育成を通じて「10万人の成功のお手伝い」をビジョンに掲げる。あべき光司氏の近年の活躍は税理士業務にとどまらない。受講生100名を抱えるコーチング講師としての活動、障がい者の就労支援事業を行う株式会社シーキューブの運営、同業界でのM&Aなど、多方面で成功を収めている。その思いは常に周りの人の成功や会計業界への貢献であり、多くの税理士の共感を集めている。特に、障がい者対象の「就労継続支援A型」の事業については、会計事務所との相性がよく、大きな手応えを感じているという。本稿では、あべき氏にこれまでの歩みと信条、コーチングや障がい者の就労支援などの取り組みについてお話を伺った。(撮影 板垣 誠)
SE・ITコンサルタントから税理士に転身
―― 本日は、EMP税理士法人代表税理士のあべき光司先生にお話を伺います。まずはご経歴をお聞かせください。
あべき 私は大阪外国語大学を卒業後、システムエンジニア兼ITコンサルタントとして、大塚商会に就職しました。大規模データベースの設計・運営・構築といった技術的な仕事を手掛けながら、コンサルタントとして企業を訪問し、企業が抱える課題に対してさまざまなご提案をしてきました。
しかし、担当する企業の社長さんの身近な相談相手になるような関係を築くことはできませんでした。当時私が担当したお客様は、小さな会社でも従業員が500人を超えるくらいの規模で、そのような会社の経営者がIT業者のいち担当者に過ぎない私に経営の悩みをあれこれ相談することはありません。「世の中の社長は一体誰に相談しているのだろう」と疑問を感じていました。
あるとき、中小企業診断士の勉強を始めたのをきっかけに、数名の中小企業の社長と知り合うことができました。そこで、誰に経営の悩みを相談しているのか尋ねたところ、全員が口をそろえて「コンサルタントには頼まない」「経営のことは税理士に聞いている」と言うのです。それを聞いて、私のやりたい仕事は税理士だと直感し、税理士として将来独立することを目指して、29歳で会計事務所に転職しました。