株式会社みずほ銀行 瀬田 和則部長
税理士法人SBCパートナーズ 柴田 昇代表
株式会社マネーフォワード 辻 庸介社長
大企業でさえ優秀な人材確保が困難といわれる昨今、中小企業は深刻な人材不足に悩まされている。一方で、AIや各種フィンテックサービスの進化に伴い、中小企業の経理などのバックオフィス業務を担う受け皿として会計事務所がクローズアップされている。クラウド会計ベンダーや金融機関と連携し、それらのサービスを活用することで、経理代行などの業務の大幅な効率化が実現できる。クラウドに集約された情報を活かした、新たな融資形態の可能性も見えている。税理士法人SBCパートナーズ代表社員の柴田 昇氏、株式会社マネーフォワード代表取締役社長CEOの辻 庸介氏、株式会社みずほ銀行e-ビジネス営業部部長の瀬田 和則氏に、「中小企業のバックオフィスをアウトソーシングする時代」をテーマに、それぞれの取り組みについてお話しいただいた。
AI時代の会計事務所の新たな方向性
―― 本日は、「中小企業のバックオフィスをアウトソーシングする時代」をテーマに、株式会社マネーフォワードの代表取締役である辻庸介社長、税理士法人SBCパートナーズの代表社員である柴田昇先生、株式会社みずほ銀行e-ビジネス営業部の瀬田和則部長にお話を伺います。
まずは柴田先生に、人手不足に悩む中小企業を会計事務所がどのように支援できるかについて伺います。
柴田 大企業でも苦戦する採用活動が、中小企業にとって深刻な問題となっています。特に、優秀な経理事務スタッフを中小企業が採用することは、極めて困難になりつつあります。
中小企業の経理は大きく分けて、社長のご親族が中心に担う場合と、一般社員に任せる場合の2通りがあります。前者は基本的に安定性がありますが、後者には離職のリスクが付きまといます。会社が一定の規模以上になると経理部門も組織化されますが、大部分が数十人規模の中小企業では、運よく正社員を採用できたとしても、人手不足による人件費の上昇から優秀な人材を定着させるのが難しくなっています。