冨岡弘文税理士事務所 所長 税理士 冨岡弘文

冨岡弘文税理士事務所は、神奈川県相模原市で54年の歴史を持つ老舗会計事務所である。所長の冨岡氏は、創業者である父の弘氏から事務所を引き継ぎ、顧問先企業の税務のみならず経営支援にも注力してきた。同事務所のスタッフの半数近くが税理士・有資格者であり、積極的なセミナー開催により多数の相続案件を手掛けるなど、さまざまな強みを持つ。計算センター時代から株式会社ミロク情報サービスのシステムを利用して業務効率化を実現したり、10年以上前に株式会社プロスの決算診断システムを導入し、可視化された資料を顧客の経営支援に役立てたりと、ITの活用実績も豊富である。本稿では、冨岡氏にこれまでの歩みや取り組み、今後の展望についてお話を伺った。(撮影 市川法子)

創業55年目の地域密着型会計事務所

―― 本日は、神奈川県相模原市とその周辺エリアで活動されている、冨岡弘文税理士事務所の所長である冨岡弘文先生にお話を伺います。
はじめに、貴事務所の沿革から紹介していただけますか。

冨岡 当事務所は、国税OBである私の父(冨岡 弘氏)が開業した会計事務所を母体としています。父は、長野県のリンゴ農家の末っ子でした。末っ子なので家業は継がないため、早く家を出たかったそうです。
戦後の慌ただしい時期に試験を受け、東京都の信濃町税務署に採用されました。その後、京橋税務署などの都内の税務署、神奈川県藤沢市の税務署に勤め、法人税の調査官として多くの法人を回っていました。
そして昭和44年、40代の頃に税務署を辞め、相模原市の自宅で会計事務所を開業しました。当時は、お付き合いでお客様がついてきてくれて、税務にきちんと取り組めば、仕事が成り立ったそうです。
私は父と異なり、ユニークな取り組みをしていたので、父からは「何をやってるんだ」と言われることもありました。

―― 冨岡先生のこれまでの足跡もお聞かせください。

冨岡 将来について考え始めたのは、大学3年生の頃です。当時は学生に有利な時代だったので、周囲の多くは証券会社や商社への就職を決めていました。しかし、私はゼミの教授と相談し、大学院で研究を続けることにしました。
修士課程修了後は、そのまま父の事務所に入りました。父の事務所で働きながら、勉強して税理士を目指そうと考えたのです。
ところが、実際に働き始めてみると、なかなか勉強する時間がとれませんでした。所内に人手が足りず、新規のお客様は全て私が担当することになったからです。
仕事が終わって、当時は水道橋の専門学校まで、1時間以上かけて通ったものでした。自分がつらい思いをしながら若い時代を過ごした経験から、自分が所長になったら、税理士を目指す職員には、勉強する時間をしっかり確保してあげたいと考えるようになりました。実際に、当事務所からは何人もの税理士を輩出しています。

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