企業会計には 『財務会計』 と 『管理会計』 の二つの会計分野があります。管理会計は、経営改善を目的とし、経営者が経営目標を達成するための判断材料をサポートするための会計であり、株式会社MAP経営では「意思決定会計」と呼んでいます。「意思決定会計」をベースに「経営計画」と「達成管理」をサポートするMAS監査業務。MAS監査業務をベースに活躍されている会計事務所のスペシャルインタビュー。福島県郡山市でご活躍されている税理士法人クリエイトの事例をお届けします。

東日本大震災を機に税理士法人を設立

── 税理士法人クリエイトについて教えてください。

池田 税理士法人クリエイトは2011年に福島で設立しました。私の祖父が設立した事務所を承継し、私は2代目になります。私が小学生のときは家の隣が会計事務所でした。小学校の卒業文集の将来の夢に「税理士」と書いており、小さい頃から税理士になることを意識していました。
クリエイトを設立した2011年は東日本大震災があった年です。福島は原発事故もあり、当時避難を余儀なくされました。そのとき「明日からの仕事はどうなるのか?」と疑問に思ったことが、現在の事務所変革につながっています。

池田憲史
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池田憲史(いけだ・のりふみ)
税理士法人クリエイト 代表社員 税理士。
東日本大震災を機に、同年10月に税理士法人クリエイトを設立。会計事務所の業務の可視化を中心に事務所改革を推進してきた。近年のデジタルツールを駆使して改革の推進力を得、デジタルリバーフローⓇ(商標登録第6383504号)を中心とした独自のノウハウで会計事務所を経営。

税理士法人クリエイト
〒963-8811 
福島県郡山市方八町2-14-16

業務フロー改革に取り組み生産性が5年で1・3倍アップ

── 現在クリエイト様が取り組まれている業務改革について教えてください。

池田 まず取り組んだのは「分業体制」への移行です。「関与別」に担当者を配置する形から「作業工程別」に配置する形に変えました。
従来の顧客担当制では、顧客情報の「ブラックボックス化」、業務手順や品質が担当者やお客様によって変わる「個別化」、さらに業務がどこまで進んでいるのかが分からないという進捗情報の「不明化」など、属人化に起因する課題を感じていました。役割分担を変えたことで優先順位が明確になりました。
次に行ったのが業務工程の標準化と、ルール設定による見える化と記録化です。詳しく説明します。会計事務所の業務には、製造業、倉庫業、サービス業の側面があります。
決算書、勘定科目内訳書、概況書、申告書の作成などが製造業の側面です。
資料作成の根拠となる資料を、お客様からお預かりしたうえで保存しておくのが倉庫業の側面です。
そして記帳代行などの会計業務、コンサルティングなど、税務や会計関連のサービスの提供がサービス業務です。その他の付加価値を高めるために、税務以外のサービスを提供している事務所もあります。
製造業の部分は本来誰がやっても結果は同じでなくてはならない前提があります。そこで全顧問先に対応できる工程手順書を作成することで業務工程の標準化を行いました。さらにルール設定による見える化と記録化を行うことで、年間を通じての業務工程が整いました。職員にとっては明日やらないといけない業務が何か分かるようになりました。
そして、この業務進捗管理方法を仮想空間上で行えるようにデジタル化しました。お客様からお預かりする倉庫業部分は全ての資料をデータ化しています。仮想空間のなかで業務を完結させられることで、どこにいても仕事ができるようにする挑戦です。
業務進捗は業務指示書を基に行われますが、この作業工程の流れを川に見立て、川上から川下に流れていくイメージで「デジタルリバーフローⓇ」と命名しました。デジタル化することで、業務進捗の見える化と記録化を実現しました。1時間あたりの生産性は、5年前から1・3倍に上げることができました。時間ができたことで、今まで埋もれていた付加価値業務を認識でき、お客様に提案できるようになりました。

税理士法人クリエイト
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税理士法人クリエイト(https://www.pds-keiei.com/
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