株式会社オービックビジネスコンサルタント(東京都新宿区。以下、OBC)は、基幹業務システム「奉行シリーズ」の開発元として、会計業界では広く知られた存在である。同社は今年の2月、同シリーズのSaaS版である「奉行クラウド」をリリースした。「奉行クラウド」はクラウドならではの機能を備える一方で、従来版と同等の操作性や処理速度を実現していることが注目を集めている。また、通常のユーザーライセンスに加えて、税理士などの専門家向けのライセンスも標準で付属しており、企業が会計事務所と連携しやすくなる仕組みも備えている。今回の取材では、OBC代表取締役社長の和田成史氏(写真)と、マーケティング推進室の野村静洋氏に、「奉行クラウド」の開発思想や、会計事務所における活用法などについて伺った。

会計事務所に活用される業務システムの要件

―― 株式会社オービックビジネスコンサルタント(以下、OBC)は、基幹業務システム「奉行シリーズ」の開発元として、会計業界では知られた存在です。
その同社が、今年の2月に「奉行シリーズ」のSaaS版である「奉行クラウド」を発表しました。
この「奉行クラウド」には、中小企業と会計事務所を結びつけ、両者の生産性を高める大きな構想があると伺っています。
今回の取材では、和田社長とマーケティング担当の野村主任に、「奉行クラウド」について詳しくお話をお聞きします。まずは、「奉行クラウド」の開発の背景についてご紹介ください。

和田 会計ソフトはその時代の新しい技術を取り込み、進化し続けてきました。
かつて、会計ソフトはオフコンで動作するものでしたが、PCが普及するとPC上で動作するものが主流になりました。インターネットが普及すればネットワーク対応製品が登場し、さらに近年ではクラウド型の会計ソフトも増えています。
振り返りますと、オフコンからPCという流れのなか、会計ソフトは複数のPCに1台ずつインストールされ、分散して処理される傾向がありました。
しかしクラウドが普及すると、PCなどが活用される一方で、処理はクラウド上で集中的に行われるようになってきました。

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