株式会社アドバイザーズ 代表取締役 松崎浩幸
株式会社アドバイザーズ(東京都千代田区)は、2009年に設立された金融商品仲介業者である。近年では「老後2000万円問題」に象徴されるように、投資や資産運用への興味・関心が高まっているといえる。個人においては「つみたてNISA」や「iDeCo」が注目されている。しかし、iDeCoと同じ確定拠出年金の制度でありながら、企業型の確定拠出年金を導入している企業は全国でも2%程度で、まだまだ浸透しているとはいえない状況である。アドバイザーズの代表取締役である松崎浩幸氏(写真)は「このような状況のなかで、会計事務所が確定拠出年金に取り組むことに大きな意義がある」と語る。複雑なイメージが先行する企業型確定拠出年金だが、会計事務所はどのように向き合うべきなのだろうか。今回の取材では、松崎氏に企業型確定拠出年金の概要やその取り組みについてお話を伺った。(写真撮影 市川法子)
機関投資家営業で身につけた長期運用の知見
―― 株式会社アドバイザーズは、金融商品仲介業者です。証券会社から業務の委託を受けて、顧客に金融商品の取引サポートなど金融サービスを提供しています。
はじめに、松崎代表の足跡をお聞かせください。
松崎 大学を卒業後、米銀東京支店、外銀信託でバックオフィスを4年経験しました。その後、メリルリンチ、スミス・バーニー、ABNアムロ証券、ドイツ証券、リーマン・ブラザーズでホールセールを22年やってきました。公的年金や企業年金の資金を運用する機関投資家に、証券会社の経済見通し、企業業績見通し、投資戦略といった情報提供をとおして、彼らの考え方、そしてその後ろにある年金資金運用の考え方を知ることができました。
―― 独立のきっかけは何でしょうか。
松崎 巨大投資銀行が次々変調を来した世界金融危機が起こる少し前の2004年に、日本で国民の「貯蓄から投資へ」という国の方針を実現する施策のひとつとして証券仲介業、現在の金融商品仲介業が創設されました。私自身、未経験のリテール営業に魅力を感じていたこともあり、2009年にかつての同僚とアドバイザーズを設立しました。