日本のM&A仲介業界を牽引するパイオニアである株式会社日本M&Aセンター。累計成約件数7000を誇る同社は、昨年不正会計が発覚した。後継者不在により廃業の危機に直面している企業が増えるなか、リーディングカンパニーの失速は日本社会にとって大きな痛手となりかねないが、同社は徹底した経営体質の改善と再発防止策を実施。新体制のもと、新たなパーパスとして「最高のM&Aをより身近に」を制定し、全社一丸でその実現に取り組んでいる。同社代表取締役社長である三宅 卓氏(写真)に、今回の不正の原因と具体的な対応、そして今後のビジョンについてお話を伺った。(写真 市川法子)

不正を生んだ3つの原因とその背景

―― 株式会社日本M&Aセンターは、昨年4月に創業30周年を迎えました。1991年の創業からこれまでに、7000件を超えるM&Aを成約させてきた、日本のM&A仲介業界におけるトップ企業であり、業界を牽引するリーディングカンパニーの筆頭に挙げられます。
その同社で昨年、社内での売上の計上時期に関する不正が発覚しました。それを受けて、全社を挙げて再発防止に向けた社内体制の立て直しが行われました。
そこで本日は、同社の代表取締役社長である三宅 卓氏に、新たなスタートを切った日本M&Aセンターの今後の方針、その方針下における会計事務所との連携強化策などについてお聞きしたいと思います。
まずは、不正が発生した背景と経緯から伺います。

三宅 主に3つの原因が重なって起こったことであると考えています。ひとつ目は社員に大きなプレッシャーがのしかかっていたこと、2つ目はコロナ禍の影響でそれが増幅されたこと、3つ目は倫理教育の不徹底です。
当社は2020年度(2021年3月期)までに、11期連続で過去最高の連結純利益を達成しており、日本でコロナ禍が始まってからも、その成長を持続させようという強い意志が社内全体に浸透していました。

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