野原税理士事務所 所長 税理士 野原哲夫
税務会計部 次長 柳川 健
野原税理士事務所(埼玉県さいたま市)は、経営財務コンサルティング、マーケティング支援、事業承継・相続事前対策、資産活用などを中心に、地域密着型の中小企業支援サービスを展開している。所長の野原哲夫氏(写真)は国税OBで、50歳手前での開業後、20年ほどで税理士事務所、コンサルティング会社、不動産管理会社からなる総勢17名のNACグループを築き上げた。開業当初から中小企業の経営者と職員の幸せをモットーに、さまざまな会計システムやITツールを駆使して、手厚い顧問先支援を展開してきた。本稿では、野原税理士事務所とNACグループの取り組みについて、野原氏と税務会計部次長の柳川 健氏に伺った。(撮影 市川法子)
税務調査をウリにせず経営支援サービスに注力
―― 野原先生は、国税OBとして二十数年前に会計事務所を立ち上げました。以来、税務会計よりもコンサルティング寄りのサービスを展開してきたと伺っています。国税出身の先生方は、比較的税務調査を軸にする方が多いようですが、なぜ経営支援業務に注力されてきたのでしょうか。本日はその理由と、どのように経営コンサルティングを展開されてきたのかについて伺いたいと思います。
はじめに、野原先生が国税を退職されてから開業に至るまでの経緯を伺います。
野原 国税局を退職して開業に至った理由のひとつは、私が栃木県の農家の出身だったということです。区画整理で地価が跳ね上がり、さらに同じころ父が長くないと分かって、突然相続の問題が生じてきました。母親も骨粗しょう症でその面倒も見なければならなくなりました。当時、私は浦和税務署の法人第一部門統括官で、そのあと総務課長となると、いざというときの対応ができません。そこで、退職して独立するという、ある意味で苦渋の決断をして47歳で開業しました。