特例事業承継税制は、中小企業における事業承継を促進するため、平成30年度の税制改正で定められた制度である。10年間の期間限定措置として、承継時の非上場株式の贈与税・相続税が猶予されるなど、株価の評価が高い企業にとって大きなメリットがあるものの、制度が複雑で煩雑な手続きや認定取り消しのリスクがあるといった理由から、活用に二の足を踏む企業経営者や専門家が多いのが現状である。この特例措置を受けるための書類提出期限まで2年を切ったなか、それらの課題を解決するため、このたび「特例事業承継税制研究会」が設立された。本稿では、会長を務めるKASUYA税理士法人の粕谷幸男氏、会を主催する株式会社MBS Networksの廣田眞吾氏と三上勝利氏、会で提供するソリューション開発を担った株式会社EnMan Corporationの今泉勝雄氏に、同研究会の設立の経緯や具体的な活動内容についてお話を伺った。(写真撮影 市川法子)

全ての税目において顧客にメリットを提供

―― 特例事業承継税制研究会は、その名前が示すとおり、事業承継税制の活用促進を目的とする研究会です。株式会社MBS Networksが主催し、8月に第1回の研究会を開催します。会長を務めるのは、KASUYA税理士法人の代表社員税理士である粕谷幸男先生です。
本日は、粕谷先生、MBS Net­works代表取締役の廣田眞吾氏と専務取締役の三上勝利氏、そしてソリューションの開発を担った株式会社EnMan Corporation代表取締役社長の今泉勝雄氏にお話を伺います。
まずは、粕谷先生の事務所であるKASUYA税理士法人の沿革からお聞かせください。

粕谷 私は、昭和46年に税理士試験に合格し、昭和48年に税理士登録をしました。昭和53年に独立し、東京世田谷区の用賀で粕谷税務会計事務所を開業しました。
その後、妻と2人で事務所を営んできたのですが、ご縁があってビルを取得する機会があり、平成20年にそのビルをオフィスとして開設しました。併せて個人事務所を法人化してKASUYA税理士法人に改称し、現在に至っています。

―― 開業当初から、相続税を得意分野とされてきたのでしょうか。

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