税理士法人りんくグループ 代表税理士 小久保 忍氏

2020年12月より株式会社MAP経営と株式会社日本M&Aセンターは、共同で「会計事務所のための戦略的スキルアップセミナー」を定期開催している。当企画はゲストの講師を招き、事業承継や未来会計に関する取り組みや今後のビジョンについて、実例をご講演いただいており、回数を重ねるたびに参加者が増えている人気企画となっている。記念すべき第1回より、税理士法人りんくグループ代表税理士 小久保 忍氏の講演内容をダイジェストでお届けする。

未来会計導入のきっかけ

── 事務所の変遷についてお聞かせください。

小久保 当事務所は2000年3月に小久保税理士事務所として自宅で開業しました。当時は日本がまだ「失われた10年」といわれていた時期だったこともあり、「お客様から顧問報酬をお支払いいただけない」「お客様が増えない」ということが業界内で話題になっていました。そのようななかでの開業でしたが、以前勤めていた事務所のお客様を中心に顧問先が4件、当時の月額顧問報酬は平均で月額13万円だったと記憶しています。
 開業当時は3年から5年で事務所が借りられたらいいと考えていましたが、友人や知人の紹介で2000年の6月には顧問先が10件ほどになっており、結局開業から3カ月で事務所を借りることができ、想像していたよりも順調なスタートでした。
 当時は金融機関による「貸し渋り」や「貸しはがし」が社会問題になっていた時期でした。そのためお客様は「どうやって経営していったらいいのか」「自分の会社の進むべき方向性が分からない」という状況にあり、経営に役立つ情報を提供したいと考え、「資金繰り」のアドバイスができないか試行錯誤していました。
 当時はまだ日本に「キャッシュフロー計算書」はありませんでしたが、上場企業には義務付けられるという話もあり、本を読んで勉強し、自分でエクセルの関数を組んでお客様に提供しました。「利益が出ているのになぜお金が残らないのか」「赤字だがどうやったら資金繰りが楽になるのか」といったお客様のニーズに応えたことがお客様の紹介につながり、順調にお客様が増えていった要因なのではないかと思います。
 その後、2001年1月に専用ソフトを入れたほうがいいと思い、MAP経営さんの「MAP経営シミュレーションシステム(以下、「MAPシステム」)」を導入することになります。その頃には顧問先が20件ほどになっていたと思います。
 現在は、税理士法人りんくと、未来会計をはじめとしたコンサルティングを行っている株式会社ビジネス・デザインを合わせて40名くらいの組織になりました。顧問先は400件を超え、未来会計(MAS監査)で関与している会社が40件ほどになっています。

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