銀座財務会計事務所 代表税理士 大苗純平氏
「会計」には大きく3つの領域がある。税務計算を目的とした「税務会計」。外部関係者への報告を目的とした「会社法会計」。そして経営管理を目的とした「管理会計」である。その違いをきちんと理解できている中小企業は多くはない。同じ会計事実である「決算書」でも、「会計の違いで知らないうちに損をしている企業が多い」と言うのは、銀座財務会計事務所 代表税理士の大苗純平氏だ。金融機関出身で税理士でもある大苗氏が両方の視点を踏まえ、立場の違いが何を生んでいるのか? 自身が提供する「銀行の格付対策」と「財務管理」の重要性と関連性、その想いについてお話を伺った。
── 事務所の変遷と現在力を入れられている業務についてお聞かせください。
大苗 私は元々、税理士になる前は銀行マンとして金融機関で働いていました。銀行マン時代は審査部の副部長などを担当し、審査の際に決算書を日常的に見る環境にいました。その後、勉強をして税理士の資格を取り、独立開業に至ります。
いろいろな立場から決算書を見るなかで、自分ができることとして大企業並みの決算を組めるようにすること。会計の本来の目的に沿った、きちんとした決算書を作ること。そもそも、決算書や日々の記帳には「自社の経営状況を知る」という目的があります。そのために管理会計の分野において、決算書の前状態の数字を自社の経営に活かす「財務・経営管理」を充実させ、中小企業の経営を会計面でサポートしたいという思いで税理士になりました。
元金融機関の人間として感じるのは、金融機関の言うことを断れない中小企業が多いということです。それに応じたからといって、金融機関が困ったときに必ず助けてくれるわけではありません。そのような実情を知っているため、過度な協力はしないなど、対等な関係性をつくるお手伝いもしたいと思っています。