2020年のM&A戦線では「業種」に異変が起きた。件数トップを走り続けていた製造業がその座を明け渡したのだ。M&Aの対象となった業種(買い手、売り手の業種とは関係ない)を集計したところ、サービス業が製造業と入れ替わって首位に立った。
業種別では例年、製造業、サービス業、情報通信業、商業が4強。製造業は2014年から年間200件台で推移してきたが、2020年は174件にとどまり、前年(216件)から40件以上減少した。3位の情報通信業との差はわずか5件となった。
米中貿易摩擦の長期化に加え、新型コロナウイルス感染拡大で生産活動が低下したことなどから、製造業を対象としたM&Aが盛り上がりを欠いたとみられる。製造業をさらに細かくみると、化学(前年24件→14件)、機械(同24件→14件)、その他製品(同43件→23件)がそろって4割以上落ち込んだ。
首位に躍り出たサービス業のM&Aは223件で、前年を24件上回った。個別には人材サービスが27件、教育・コンサルタントが25件とそれぞれ前年比1・7倍に増えた。
情報通信業は169件と前年(160件)並みだが、その大部分を占めるIT・ソフトウエアは152件と前年を9件上回り、過去最多を更新した。組織の生産性向上やビジネスモデルの変革を促すDX(デジタルトランスフォーメーション)化が流れとなるなか、買収ニーズが膨らんだ形だ。
4強の一角、商業は140件と前年の146件から件数を落とした。なかでも外食・フードサービスのM&Aは前年の30件から18件にダウンし、新型コロナ禍の影響がうかがえる。
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