建設・土木業界のM&A件数の推移
建設・土木業界の2020年7〜9月のM&A発表件数は15件で、7〜9月としては2011年以降の10年間では2017年(9件)を上回り過去最多となった。新型コロナウイルス感染拡大にもかかわらず、M&A市場は活発な状況が続いている。15件の大半は事業の拡大や体制強化などを狙いとした企業買収で、「アフターコロナ」をにらんだ積極策が目立った。
取引金額は約145億円で、7〜9月としては2011年以降の10年間では2019年(約708億円)、2012年(約525億円)に次いで3番目となった。
取引金額は100億円を超える大型案件があったものの、他に金額を公表したのは10億円台1件と6億円台1件の2件だけだったため件数ほどには膨らまなかった。
全上場企業に義務づけられた東証適時開示情報のうち、経営権の移転を伴うM&A(グループ内再編は除く)について、M&A仲介のストライク(M&A Online)が集計した。
金額トップはヤマダホールディングスの126億円
金額が最も多かったのはヤマダホールディングス(10月1日にヤマダ電機から社名変更)が、注文住宅を主力とするヒノキヤグループに対して子会社化を目的にTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した案件で、買付代金は最大126億5520万円。
ヤマダホールディングスは家電販売にとどまらず、「暮らしまるごと」をコンセプトとし、住宅やリフォーム、インテリアなどに事業領域を広げており、今回の子会社化もその一環。
金額の2番目は建材、住宅設備機器の卸売りを手がけるOCHIホールディングスが、内装工事業のアイエムテック(広島市)の全株式を取得し子会社化することを決めた案件で、取得価額は12億〜13億円。非住建分野の事業領域を拡大するのが狙い。
金額の3番目は環境機器、住宅機器関連事業のダイキアクシスが、土木工事を手がける全額出資子会社のDAD(松山市)の全株式を、不動産・建設業のミツワ都市開発(松山市)に譲渡することを決めた案件で、譲渡価額は6億8000万円。中長期的戦略として海外展開に力を注いでおり、経営資源を集中するのが狙い。