建設が進む高輪ゲートウェイ駅(2018年12月7日)

建設業界のM&A件数は増加傾向

 M&A仲介サービス大手の株式会社ストライク(東京都千代田区)の集計によると、日本全国・全業種(上場企業)のM&A件数は2018年に781件となり、2011年以降の8年間で最高となった。建設業界の2018年のM&A件数は33件であり、やはり最高を更新した。
 一方、株式取得費やアドバイザリー費用を含む取引総額は150億円と、2017年の69・1%にとどまった。これは株式交換や合併など、現金が動かない案件が急増したためで、これらを勘案すると件数、金額とも高水準にあるといえる。
 建設業界は2020年の東京オリンピック開催と、東日本大震災の復興特需が重なり、深刻な人手不足に陥っている。帝国データバンクの調べによると、2018年の人手不足倒産件数153件(前年比44・3%増)のうち、建設業界は46件とトップの座を占めた。
 こうした状況を踏まえ、みずほ銀行では「不足する土木・建築業の労働力を補うM&Aは活発になる」と見ており、2019年は前年以上にM&Aが盛り上がりそうだ。

株式交換による大型M&Aも

 2018年の建設業界のM&Aは、2011年以降最高だった2017年の29件を4件上回った。
 取引総額が最も大きかったのは建機レンタルを手がけるアクティオホールディングス(東京都中央区)による、土木基礎工事の三信建設工業に対する株式公開買い付け(TOB)の約64億円。
 アクティオホールディングスは機械レンタルを軸に周辺業態を取り込む姿勢を強めており、三信建設の買収により業容の拡大を目指す。
 2番手は麻生グループ(福岡県飯塚市)傘下のエーエヌホールディングスによる日特建設に対するTOBの約53億円。
 エーエヌホールディングスは日特建設株式の取得を目的に麻生の100%子会社として設立された企業で、日特建設を子会社化することにより、麻生グループとして一体的な運営を目指すという。
 このほか2018年は金額表示のない株式交換や合併などによるM&Aが9件に達した。2011年以降の株式交換など件数の最高は2016年の4件のため、2倍以上に増えたことなる。
 なかでも、協和エクシオがシーキューブ(名古屋市)、西部電気工業(福岡市)、日本電通(大阪市)の電気通信工事の上場3社を経営統合した案件は大型だ。
 協和エクシオは電気通信工事第2位の大手。3社はいずれもNTTグループ向け通信インフラネットワーク構築を中核事業としており、経営を統合することで成長戦略を推し進める。

2019年はすでに3件

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