TKC全国会

TKC全国会は、7月18日と19日にヒルトン福岡シーホーク(福岡県福岡市)で、第51回TKC全国役員大会を開催した。参加者は921名。
TKC全国役員大会は、TKC全国会と20の地域会の役員を務める会員の大会。本年度(今年7月から来年6月まで)の活動方針を発表し、役員間における意識の共有を図る。
TKC全国会は、令和4年1月から今年12月末までの3年間の運動方針として、

  • 優良な電子帳簿を圧倒的に拡大する︱「TKC方式の自計化」の推進
  • 租税正義の守護者となる︱「TKC方式の書面添付」の推進
  • 黒字化を支援し、優良企業を育成する︱「巡回監査」と「経営助言」の推進

を掲げ、活動を続けてきた。今年はその最終年度である。
1日目は政界、官界、学会、税理士界、政府系金融機関など、各界から来賓を招き、式典が行われた。司会はTKC九州会の松下 亮氏、島村美礼氏が務めた。
大会委員長の山之内浩明氏による開会の辞、物故者への黙祷、大会会長(TKC全国会会長)の坂本孝司氏の主催者代表挨拶が行われた。
続いて、内閣府特命担当大臣の自見はなこ氏、福岡県知事の服部誠太郎氏、日本税理士会連合会会長の太田直樹氏から祝辞があった。
委嘱状授与のあと、第32回飯塚毅賞が発表され、「TKC基本講座」第五版改定プロジェクトのメンバーである久田英詞氏、増山英和氏、松﨑堅太朗氏、吉野 太氏、飯塚真玄氏(株式会社TKC名誉会長)に授与された。
次に、TKC全国会副会長の佐藤正行氏が、正副会長会からの報告を行った。おもな内容は、TKC全国会運動方針の確認、活動の成果、外部環境の変化、運動方針目標達成に向けた取り組みなどについて。
さらに、株式会社TKC代表取締役社長執行役員の飯塚真規氏が、TKCからの報告を行った。おもな内容は、BAST優良企業、職員の業務負荷を軽減する必要性、月次決算速報サービス、ペポルインボイスの推進と対応、事務所通信デジタル版などについて。
最後に、次回開催地の紹介が行われ、第52回の開催地が札幌であることが発表された。そして、TKC北海道会会長の本間貴久氏、次期実行委員長の宮下直樹氏から抱負が語られた。閉会の辞は、実行委員長の小川清春氏が行った。
その後会場を移し、坂本氏が「会計事務所の経営革新︱月次巡回監査がすべての基本」というテーマで会長講演を行った。
坂本氏は講演の冒頭で、今年6月26日に公布された改正政治資金規正法について触れ、全国政経研究会と20地域政経研究会が年始から同法の改正について与党国会議員に対して提言活動を行ってきたことを語った。その結果、7つ行った提言のうちの6つが実現する成果があった。
続いて、雇用環境の大きな変化やDXの進展、簿記・会計への軽視傾向、税制の複雑化・難題化など、我々を取り巻く環境の変化について解説があった。こうした変化の時代においては、会計事務所は経営革新が求められることを坂本氏は指摘した。
そして、税理士は職業会計人であり、税務の領域では「税務に関する法律家」として、会計の領域では「会計専門家」として、保証の領域では「税務監査人・会計参与」として、経営の領域では「経営助言者」として位置づけられるべきだという、税理士業務の本質に関する再確認が行われた。
そして、これら4つの業務(税理士の4大業務)をしっかりと結合させ、関与先企業に「同時提供」することが、会計事務所の経営革新において重要であると語った。
今後の技術進展の結果、仕訳や帳簿の作成は自動化が進み、申告書の作成も相当部分が自動化される。そうなると会計事務所の中核的業務は「保証」と「経営助言」になり、その基盤となるのが「税務」と「会計」である。坂本氏は講演の最後に、これら4大業務を同時提供し、会計事務所の経営革新を実現するにあたり、月次巡回監査がすべての基本であることを強く指摘した。
2日目は全体研修会が開催された。TKC全国会中央研修所所長の服部久男氏が開会の辞を述べた。
続いて、「『会計事務所の経営革新』検討プロジェクト中間報告」と題し、プロジェクトリーダーの原田伸宏氏が基調講演を行った。おもな内容は、「会計事務所の経営革新」の必要性、検討プロジェクトの設置、税理士の4大業務同時提供の重要性、TKC会員のトップランナーが描く近未来の会計事務所像、会計事務所経営者が直面する課題、検討プロジェクトの活動について。
その後、「税理士の4大業務を同時提供するための『近未来の巡回監査』とは」というテーマでパネルディスカッションが行われた。コーディネータはTKC全国会副会長の加藤恵一郎氏、パネリストはTKC全国会システム委員長の岩崎博信氏、TKC全国会巡回監査・事務所経営委員長の吉野 太氏、飯塚真規氏。
閉会の辞は、TKC全国会中央研修所担当副会長の野中将弘氏が行った。

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