TKC税務研究所

10月20日に東京プリンスホテル(東京都港区)で、フォーラム「TKCタックスフォーラム2023」が開催された。主催はTKC税務研究所、共催は公益財団法人租税資料館、後援はTKC全国会。オンライン配信も同時に行われ、参加者はリアル・オンラインを合わせて670名。

開会の挨拶は、TKC税務研究所長の谷口裕之氏が行った。続いて、TKC四国会研究グループの研究発表があった。研究テーマは、「消費税法におけるインボイス制度導入の影響と課題︱職業会計人の職域防衛と運命打開を目指して」。指導教授は大阪府立大学名誉教授の田中 治氏。研究メンバーは、田窪滋記氏、池田陽輔氏、大内幹永氏、白石 功氏、高田幸史氏、原 俊明氏、森澤優司氏。

10月1日より開始されたインボイス制度により税務処理が複雑化し、特に小規模・零細事業者において事務負担の増加が予想される。本研究では、インボイス制度の影響や課題を分析し、職業会計人がこの制度にどう対応するべきなのかを追究している。

第一章では、日本の消費税法の変遷と、既にインボイスを導入している欧州の制度などを確認し、インボイス制度の課題検討に必要な情報を整理した。第二章では、政府税制調査会での議論をもとに、インボイス制度導入の背景と意図を探った。また、仕入税額控除という消費税法の重要な部分にどう影響するのかを考察し、インボイスが納税者の権利や帳簿の信頼性を保護しうるのかを検証した。第三章では、インボイス制度下での事業者免税点制度、帳簿の証拠力、簡易課税制度などの課題について分析し、事業者に及ぼす影響について検討した。第四章では、仕入税額控除に関連する税務紛争の事例を調べ、インボイス制度導入による税務上の影響や課題を整理した。第五章では、インボイス制度による社会の変化に職業会計人がどう対応すべきか、そして職業会計人としての社会貢献と租税正義の実現に向けた役割をどう果たすかを検討した。

最終的には、職業会計人は法的知識を生かし、正確な帳簿作成を支援することでインボイス制度の適切な普及に貢献し、租税正義の実現に寄与する重要な役割を担っているという結論に至った。

昼食を挟み、財務省大臣官房審議官(主税局担当)の中村英正氏が「税制の当面の諸課題」と題して講演を行った。次に、東京大学大学院法学政治学研究科教授の神山弘行氏が、「租税法律主義の意義と機能について」と題して講演を行った。閉会の挨拶は、公益財団法人租税資料館代表理事の増田英敏氏が行った。

こちらは 実務経営研究会会員 用記事です
すべての記事が読める「実務経営研究会会員(有料)」へご登録いただくと続きをご覧いただけます。