中小企業の未来を照らす! 
いま、社会に必要とされる税理士とは
TKC全国会

2021年11月18日にオンライン形式で、若手会計人向けの大規模フォーラム「TKCニューメンバーズフォーラム2021」が開催された。主催はTKC全国会。入会3年未満の「ニューメンバーズ会員」を含め、税理士・公認会計士の参加者数は1500名。
26回目となる今回は、新型コロナウイルス感染症対策のため、昨年に続きオンライン開催となり、参加者は自事務所や全国各地の集合拠点から受講した。

若手会計人が目指すべき方向性

開会式のあと、TKC全国会会長 の坂本孝司氏が、「感動を呼ぶ月次巡回監査とは︱︱会計で会社を強くする」というテーマで基調講演を行った。
坂本氏は講演の冒頭で、自身の事務所が発展した経緯について触れ、若手会計人に向けて事務所経営のあり方を論じた。
「私の事務所では『記帳代行』はお断りしています。税理士の四大業務(①税務、②会計、③保証、④経営助言)はいずれも、仕訳(会計帳簿)と深い関わりがあるのです。企業経営者が、仕訳を誰かに代行してもらっているままでは、いつまで経っても計数感覚が身に付かない。税理士はこのことを経営者に教えていくべきです」(坂本氏)
そして、記帳を会計事務所ではなく、関与先が行うことが極めて重要である理由について、商業帳簿の誕生の経緯や社会的意義などを交えて解説した。また、租税法学者クルーゼと経営経済学者レフソンの論争について紹介し、商業帳簿の主目的について考察した。
「ルイ14世が治めていた当時のフランスでは、あまりにも増えていた破産を防止するために、商人に帳簿の作成を強制していました。帳簿の作成を重視する考え方はやがてドイツに伝わり、それが現在においても法律のなかに落とし込まれています。なぜこうしたことが日本でなされなかったのか、非常に残念です」(坂本氏)

コロナ禍におけるTKC会員の取り組み

続いて、関与先支援に取り組むTKC会員のドキュメンタリー映像「コロナ禍を乗り越えよう! 関与先のために立ち上がる会計事務所」が放映された。出演は、澤田匡央氏(TKC近畿京滋会)。

改正電子帳簿保存法・インボイス制度への対応

休憩を挟み、TKC代表取締役社長の飯塚真規氏が、「改正電子帳簿保存法・インボイス制度とTKCの支援策」と題して特別講演を行った。
飯塚氏は、TKCの財務会計システムが黒字決算と適正申告の実現を重視していることを挙げ、これまでの機能強化の流れと、今後の機能強化の方針について説明した。
また、改正電子帳簿保存法やインボイス制度の課題について考察し、2022年1月よりTKCの財務会計システムに電子取引データ保存機能(およびスキャナ保存機能)が標準搭載され、これにより中小企業は改正電子帳簿保存法(電子取引への対応)や電子インボイスに対応できることを説明した。

関与先獲得、収益拡大への筋道

次に、TKCシステムを活用し、経営助言へのシフトに取り組むTKC会員のドキュメンタリー「事務所のサービスを経営助言にシフト その成功要因とは? ︱︱ITのフル活用で関与先の経理事務の生産性を向上」が放映された。出演は、北條貴裕氏(TKC東京中央会)。
続いて、「昨年アンケート結果からみた『事務所収益拡大』のポイント!」と題して、前回の参加者アンケート(526人回答)の分析結果の報告があった。 解説は久野賢一朗氏(TKC東・東京会)。
休憩を挟み、「ウィズコロナで関与先獲得・収益拡大するには」と題してトークセッションが行われた。コーディネーターは野口大樹氏 (TKC城北東京会)。パネリストは、岩井雅志氏 (TKC神奈川会)、千葉賀津子氏 (TKC関東信越会)、濱本健太朗氏 (TKC四国会)。

コロナ禍が続くなど、先が見えない時代において、会計事務所の成長と発展につながる明確な行動基準を掲げ、着実に活動を推し進めるTKC全国会の取り組みが印象に残るフォーラムだった。

坂本孝司・TKC全国会会長

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飯塚真規・TKC代表取締役社長

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久野賢一朗税理士

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