弥生株式会社

10月14日にオンラインとオフライン(会場:秋葉原UDX)の両方で、弥生株式会社(東京都千代田区)が記者発表会を行った。記者発表会では、デスクトップ・アプリケーションの新バージョン「弥生 22 シリーズ」の概要や、弥生の事業概況について、同社の岡本浩一郎社長が説明をした。

業務効率化を推進する「弥生 22 シリーズ」

「弥生シリーズ」は、中小企業の会計・給与・商取引などのバックオフィス業務を支援する業務ソフトウエア。新バージョンとなる「弥生 22 シリーズ」では、法令改正に対応し、業務の効率化を推進する機能を強化した。
会計業務の領域では、自動取引取込・自動仕訳機能SMARTの推論ロジックをベイズ推定ベースからニューラルネットワーク・ベースに改良し、勘定科目を特定する精度を強化。給与・労務業務分野では国税庁の「年末調整控除申告書作成用ソフトウエア」との連携に対応した。

国や業界を巻き込んだ業務のデジタル化を推進

弥生の岡本社長は講演のなかで、紙をただ電子データに置き換えるだけで、業務効率化に貢献しない「電子化(digitization)」が進みつつある中小企業の現状を憂慮した。そして、業務のあり方そのものを見直し、中小企業の業務効率化に貢献する「デジタル化(dig­italizaiton)」を目指すべきだと語った。
弥生は業務のデジタル化に向けた取り組みとして、自社単体ではなく、国や業界を巻き込んだ活動に力を入れている。
具体的には、2019年に社会的システム・デジタル化研究会を立ち上げ、確定申告制度や年末調整制度などのデジタル化を目指した活動をしている。さらに2020年7月には、電子インボイス推進協議会(EIPA)を立ち上げ、日本の中小企業が共用できる電子インボイス・システムの構築を目指した活動をしている。EIPAにはインフォマートやSAPジャパン、OBC、TKC、マネーフォワード、ミロク情報サービスなど、国内外の業務システムベンダーが発起人として名を連ねており、正会員は9月末時点で121社に達する。
EIPAは、海外でも採用が進むPeppolをベースとした電子インボイス・システムの日本国内での普及を目指しており、2020年12月には平井デジタル改革担当大臣に提言を行った。

電子インボイス対応を視野に入れた「証憑管理サービス」

弥生は、業務のデジタル化の核となるシステムを、来春にリリースすることを計画している。
同システムは「証憑管理サービス(仮称)」と呼ばれており、あらゆる証憑をデジタルデータとして送付・受領・保存し、商取引や会計に関わるさまざまな業務を自動化する。
当初は電子帳簿保存法対応版としてリリースし、その後、紙証憑のデジタル化、電子インボイス(日本版Peppol)などに段階的に対応していく。

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